ROCK IN JAPAN FES.の日記(前編・5日)

振り返れば去年のロッキンは悲喜劇だった。朝一番から森でBAZRAが観れるって興奮して向かったらいきなしの人身で二時間近くも立ち往生。到着した瞬間、レイクから「TAIFU」のイントロで「嗚呼、もうBAZRAの時間は終わったのだな。侍が生きていける世は終わり、これからは新しい価値観が生まれる。刀や髷の存在は必要なくなった。」と維新に取り残された悲しい「もののふ」の心情を悟る。白虎隊フォーエバー。稲最高。


同じ轍を踏むなかれと昨年より更に急いでデッパツしたらちゃんと開演に間に合った。ホント、よかった。


(ここから各アーティストの感想を書きます。自分は感情を上手く糊塗するのが苦手で、良くないと思ったものは良くないと言い切ってしまうとこあるのですがご容赦いただけると幸いです。)


ASPARAGUS(SOUND OF FOREST)
「自分が女だったらしのっぴに抱かれたい」と話したら「変わった趣味してるネ」と返されました。そうか?カッコよくないか?や、確かにキャプヘジの頃のオデコ全開ヘアはウド鈴木に見えなくもないけど直毛にしてからやたら男前じゃないか。やたらハーフパンツも似合うではないか。そんなことはどうでもいいのではないか。


ちょっと演奏が良くなかったというのはあるよ。客のノリが音と会ってない、リズム云々より自分の暴れたい欲求をぶつけすぎて気持ちの良い波を産み出せなかったとこあるよ。でもよ…「好きなものは好きだからしょうがない!!(c)」(ここ太字にしといて)
「Beginning」やってくれたし!エモい!新曲も悪くなかったし。今後の方向性を示唆するって意味合いではもう、だんだんとテク志向っつのかな、Yes/No然りツェッペリンみたくなってる気がしないでもないんだが。勢いで押し潰すではないのなら更に丁寧な演奏と歌が必要になるだろうって危惧も無くはないが。良い悪いとは別の次元です。ピザのV.A出るしNAPやんないかなって思ったけどそれはなかったね。俺は欲張りすぎだわ。
カムバックのCHUN2が暴れまくってたって後日談で聞いた。カム好きだけど顔わからない。


来年はレイクで!キャパとかじゃないんだって。


NATSUMEN(SOUND OF FOREST)
知ってる曲は「New summer boy」一曲だけやってんけど、しかもそれ演奏せなんだんだけど全然、終始ステージに見惚れてしまった。アインちゃん萌えとかそゆことじゃなく。
インストをフルで見てられるってのは自分の中では割と凄い事で、伊達や酔狂で誰もが絶賛してるんじゃないんだとその凄さに拍手。前にいたグラストンベリーのTシャツを着たお兄さんがノリノリだったのを見て、なんか伝染してきたってのもある。これも演奏はもうちょっと縦の線が決まってくれば文句はないんだけど、デタラメばっかしの適当なMCも各人のパフォーマンスもひっくるめて拍手。あ、今「拍手」って言葉に逃げた俺がいますね。


ACIDMAN(GRASS STAGE)
本心はバナパ見たかったんだけど連れ合いの意見を尊重して食事がてらアシッドマンを。見たことないしまぁいいか。(これは後のレポートでバナパが「from resonance」をやらなかった事を知った安堵ゆえ。当日はずっとソワソワしてた。いかんね、見れるものは全部見ておこうって銭ゲバ根性は捨てないと。)


このバンドは悪くない。演奏もしっかりしているしヴォーカルの歌もダイナミズムに溢れていてけっこう、興奮するとこある。
だけど、なんだろう…顔が見えないっていうのかな、もっと言えば核が見えない、色んなバンドから美味しいところをツギハギしただけで、そこから新しい何かに生まれ変わったイメージがない。ブロックを持って来て積んだだけではいけない、一度溶解するなりして、新しい性質なり色なり一枚板にしてかなければいけないと思う。加えてMCも少なく、キャラクターでねじ伏せることをしようともしないから余計にそうなる。音楽的な話をしてもそう、ルーツが全く見えてこない。本人たちこれが本当にやりたいのかな?彼らがどんな音楽を聴いているのか知らないがそれこそ俺にはそこからナンバガバンアパくらいしか汲み取る事ができなかった。あとルナシーですか。


しかし凄いのが上記の通り、にも関わらず迫力があるところだ。
ファッションセンスが、少しはマシになったところだ。


「river」って曲が気に入ったので一度しっかりと聴いてみるわ。


ELLEGARDEN(GRASS STAGE)
噂が噂を呼んで「えれが〜でん」。今じゃどこのイベント行ってもかかるしかければ百中で盛り上がるキラーバンド。立ち位置とタイミングが絶妙で上手なやり方だと感心する。
一度、最前ブロックでモミクチャになっておきたかった為に特攻(ブッコ)んでみたけどオッサン、もうムリ。全然ムリ。
「Surfrider Association」で即死。ニンゲンがすし詰めだから踊るとかじゃないしな、自由では無かった。でも客のマナーが悪いとか厨とか言われてるけども仕方ないだろ、こういう音楽は若さ無くしては成立しないとこあるし。このバンドはこれでいいんじゃない。本音は一緒に歌いたかったりした。でも歌詞ワカンネーヨ!


ブンブン見たかった欲求を殺した甲斐は無かったかもしれない。。。


奥田民生ひとり股旅(GRASS STAGE)
この日の白眉、自分的ハイライトは間違いなくこの人だった。


序盤はね、寝っころがってマッタリと酒飲みながら聴いてたんだけど、もう、「CUSTOM」でいてもたってもいられなくなってしまった。何なん、この曲は。この人は。


直接ステージを見るよりかはモニターに視線奪われてたのがまた良かった。彼の口の動きと、浮かんだり消えたりしていく顔の皺とがハッキリと確認できて一層歌を味わい深いものに仕立ててくれた。


「できるうちにこのステージにて一人でやらせてほしいとお願いした。」みたいな事を口走ってて意気込みどころじゃない、大きな大きな人生を垣間見る。ヒューマンなんだな、ここに彼がいて歌を歌っているだけでドラマになるって凄いな。


一言一句を、その響きでなくてはならない域にまで磨き上げ丁寧に歌う。あと少し口が開いてもダメ、あと少し声が大きくてもダメ。呼吸を、心拍数を、気持ちを、全部の全部を一つの歌に集めてギュっと絞るように吐き出し紡ぐ。いやマジでマイスター。


昭和の名曲(笑)も「さすらい」も凄く良かったですよ!


スピッツ(GRASS STAGE)
先の民生が濃厚な、何年も何百年も使われてきた樽で温められた重く芳醇なバーボンみたいな歌を歌ったに対してスピッツの演奏は軽すぎた。スプモーニって感じがした、それは音色だけじゃなくってね。


毒にも薬にもならないのが彼らの持ち味なのかもしれないがそれにしたって余りに淡白すぎたんじゃないだろうか。せめてもうちょっと誰もが知っている曲を。。フェスだからさ、お祭りだからさ、本人やマジヲタの人は飽き飽きしてるようでもそれこそ会場にいる人全員が知ってる歌える曲がいくつもあるんだから、それをやってくれたってバチはあたらんのになぁ。「メモリーズ」と「正夢」しかタカまらなかった。「バニーガール」は「ババロア」は望み薄だったとしても。でも稲最高。


スタッフの女の子が全霊で見惚れてたのが面白かったです。「正宗さま……」って放心状態(笑)。


Cocco(GRASS STAGE)
もうね、エルレでクタクタなんですよ齢26の(性格が)チョイ不良オジサマはね。ハワイアンのいるレイクまで移動する気力がないのよ。民生とスピッツでやっと乾いたTシャツをもう一度ビシャビシャにする勇気は無いのよ。。


ハングリーフィールドにて、ケンパイしながら戦時中みたいな雑炊をすすっていると・・・・


強く儚い者達キタ━━(゜∀゜)━━!!(久しぶりだな、AAて)


俄然一気。グイグイよしこい。
俄然ダッシュ


漸く日が沈み初めて、ひたちなかの夕景を舞台に歌うCocco。ステージ向かって左に生えている大きな樹はガジュマルの樹にも似て(ガジュマルの樹って何ですか?気になる樹?あ、今うまい事ゆっちゃったかも。)彼女の故郷、沖縄を思わせる。この為だけに生えているんじゃないかって錯覚するくらいに豪華な舞台装置と化していたよ。


「樹海の糸」が聞けた時点で(さっきからやたら「樹」って字を打ってるなぁ)お腹一杯になっちゃったのでDJブースに移動しました。あっちはあっちでバンプやら銀杏やら完全にターゲットをUNDER17に絞った選曲をしておられました。もうだめぽんぽぽ〜ん。「COLD BEAT」かけろ「COLD BEAT」!!したら”踊(ダンス)”ってヤンヨ!?


可も無く不可も無くだったなぁ〜って総括するのは翌日の公演が今日以上に素晴らしかったからであります。その話は次回の日記にて。


終演後はノベちゃんの先輩の車に乗っけてもらって水戸のノベちゃん邸で飲みを。やたら黒ビールを冷蔵庫に用意してくれてた。うれPのでたくさん飲んであげた。明日以降のことは知る由も無い。その傍らでうら若き婦女子たちにセクシャルハラスメント(通称シャルハラ)な会話をしながら寝落ちしたという。このエピソードは勝手に美化されて二千年後くらいには茨城一帯に伝わる神話となっているハズであろうズ。おやすみ。