下北沢屋根裏

その昔自分が在籍していたバンドのライブを見てきた。あれは去年のいつだったか、お台場ベリ映画の上映会の後にも立ち寄った件のアレだ。早や半年以上の月日が経って久しぶりに俺の目の前に姿を現した彼等は音は、以前とは比較にならない程研ぎ澄まされて、それでいて秘めたる狂気を漂わせていた。楽曲は和音階を使ったものが大多数を占め、ともすれば椿屋四重奏なんかにも似た印象を受けがちだがそれとはまた違う、最早メロディーの良さを完全に排除した和製ギターロック和製シューゲイザー。殆どの作詞作曲を手がけるギターのルーツが前面に押し出された、だのにワンマン臭のしないサウンド。相も変わらず演奏力には何アリだがとんでもない雰囲気で会場を支配する。おかしな例えになるかもだが、まるで黒い大きな球体がいくつもいくつも襲い掛かってくるような感じとでも言おうか。特に最後に演奏された「ゲル状の海」という楽曲は凄い。この一曲はズバ抜けている。これだけを引っさげてなら極東最前線やジャパサに出演してもそこいらのバンドに引けをとらないとは言い過ぎか。いや、あながちそうでもない。暴力的な、且つ繊細なトラックの上に不協和音的なメロディーが乗る。大きな大きな塊が、大きな岩の島が頭上に迫り来る。二分強しかないこの曲に全ての心を持っていかれた。盟友の成長っぷりに驚愕した。