座間ナイ〜世田谷編〜

〜世田谷編〜
本当は昨日、世田谷の町を散策しに行こうと考えていたんだけど何らかの事情、なんとなくの事情で回避してしまった。なので今日こそは充ての無い遊蕩に出ようじゃないかと強く決心。
ある取引に必死系だったお蔭で家を出たのは結局14時前後になってもたけど…差しあたって今日は小田急世田谷線に乗ってみたかった程度なのでそれならそう多くの時間を必要としないだろうと高をくくって家を出る。
いやね、予てから世田谷線に乗ってみたいって思ってたんです。それはというと現在俺が地元で使ってるチャリ(名前つけたけど失念)を購入したのが確か世田谷だか目黒だかの間だったんですよ。それでですね、その際チャリなんざ乗り物に乗り物を用意して運んでやるなんて笑止千判、おこがましいにも程があるわという事で漕いで帰ったんです、吉祥寺まで。今思うと多少無理のある工程だった気もしないでもないですが…春ゆえ気候も良かったので陽気に誘われたのかもしれませんね。
その時にやっぱりこう…ぶつかるわけじゃないですか?世田谷線とね。夕暮れ時だったせいかどうも俺にはその風景が色濃く記憶されちゃっててね…「もう一度あの場所に行ってみたい、そして今度はあの電車も乗ってみたい」って気持ちを水面下でずっと燻らせていたんです。(想像すると奇妙だな、この表現w)
まぁそんなフーテンみたいな小旅行も無職の今だからこそ可能な事なんだろうし…一念発起、ここは行ってみるしかないでしょうと何故か必要以上に長い前振りを必要としながらも俺は世田谷散策に出るわけです。
旅の友に先日某友人に薦められた本をと思い古本屋に入ってみるがどうも置いてある様子がない。
惜しいには惜しいのだが小額の金銭をケチって束の間の逃避行を味気ないものにしてしまうのもしのびない、なので次は普通の本屋さんへ向かう。
んが、しかしかかしここでもその本にお目にかかれない
そうこうしている間にも刻々と時間は過ぎていくので電車に乗る事にした、行く先々の本屋に立ち寄って探してみるのも一興ではないか。
手始めに俺が向かったのは下高井戸、ここには世田谷線の始発駅がある。
当然の事だが初めて降りる街には初めて吸う空気がある。この街の空気は俺の肺を幸福で満たしてくれた。
そういえばドーパンのPVに出てきた街はここだったかな?でも地下道が見当たらないな、なんて考えながら今日はウォークマンも外して人々の、車の、町の声を聞きながら適当に散歩をする。
とたんにグルル…腹が鳴る。そういえば朝から何も食べてなかったっけか…これといった思惑も無く、一番に目に入った蕎麦屋さんに入る事にしてみる。
旅気分を増幅させたいが為、俺は店主の親父に話し掛ける「いやね、たまたま今日は休みになったからね、天気もいいし世田谷線に乗ってみようと思ってぶらりと初めてこの町に降りてみたんですよ(この文章にはひとつだけ間違いがあります)」
そつの無い笑顔で答える親父、と言えば聞こえはいいが要は流されてるだけなのだw
人情に欠けるな世田谷は、蕎麦も親父も味がないぜ
そして足早に店を出、世田谷線の駅はどこかな?と徘徊をしていると一軒の古本屋さんが目に飛び込んできた。
店の名前は忘れてしまったが癖のあるレコードや画集、洋書の取り揃えには目を見張るものがあったように思う、あまり触れたことも無いようなジャンルのものが沢山並んでいた。自主制作のDVDなんかもあったりして興味深い、またじっくりこの店の為だけにこの街へ降りてもよさそうな位に。
意外なところでタイムロスを食ってしまったがこういうのが旅の醍醐味なのだ、だからそれは即ち制限のある時間の中で精一杯楽しもう、と考えている世知辛い俺の今日の旅とは相反するものでもあるのだ。
次回は、と言い訳を用意して、でも今を目いっぱい楽しもうと前向きに。
初めて乗る世田谷線。乗客の殆どが学生さんであったのは夕方という時間帯であったからだろうか?だとすればそれ以外の時間にはどんな人が利用している線なのだろうか。疑問というか好奇心というか…涌く涌く。
あまりに人の数が多く、またそもそもの数が少ない為座席に座れそうにないので一本見送ることに。
次の便で悠々座席を確保。隣に立っているお婆さんがいたのが気がかりではあったのだが今回ばかりは俺に席を譲ってくれ、座らせておくれ。そうでなければ何の為にここまで来ているのかわからなくなってしまう。
幸い老婆はいくつかめの駅で無事座ることができたようで俺も一安心、偽善の肩の荷を下ろせる。
住宅街の中を走る電車、だがしかしいまひとつ感動に値する風景に巡り合えない。あの時に見た景色はその沿線のどこに隠れているのだろう…それともアレは俺の記憶違いだったのか?
駅を重ね電車内の人間が次々と入れ替わり、俺はじっと座ったまま女学生の他愛のないおしゃべりをBGMにずっと外の景色を眺めていた。
あぁ、逆の窓側だったのかもしれないな…結局その景色を見つけることないまま俺は途中で電車を降りてしまう
不意に歩いてみたくなった。何も無い、それでいて閑静とも言い難い住宅街を歩いてみよう。
俺が降りたのは「若林」という駅であった、本当はこの駅を選んだのには少しばかりの下心、偶然への期待があった事も書いておこう。
そこから線路に沿って歩いた。街は俺が育った神戸の田舎のようでもあり、また十代の頃働いていた東久留米にも似ていた。
三階以上の建物の少ない、空が広い街。
そんな空が背中を丸めたとき、俺は三軒茶屋の交差点にいた。
ひとまずここが目的地だ、安堵のため息ひとつコンビニで買ったアイスをパクつく
時計を見るともう夕方も真っ盛り、夏ゆえに実感できなかっただけなのだ
友人(C氏)との約束まであと一時間と少しか…
余裕ある時間を存分に活用したくって俺は三茶を歩いてみた。
ここへは何度か来た事がある、以前世田谷の歯医者にお世話になっていた時期は毎週原付でこの辺りを通過していたしまたあるときはHEAVEN'S DOORにライブを見に来たりなんかしたり。
俺のこの街に対するイメージは雨、いつも雨が降っていたり、またそうでなくても上を走る高速のせいか常に空が曇っているように見える。だから俺は住みたくない、この街には住みたくなかった。
でもこの日はいかにも服飾専門学校生みたいな格好をした俺好みの女性の大群とすれ違った事でじっくりと(それでいて慌しくもあったがw)視姦しまくる事ができたので少しだけ住みたくなった。
結局書店に足を運ぶもお目当ての本は見つからないので仕方なしに別の作家のものをレジへ運び、そのままバスに乗って約束の場所、下北沢へ向かった。
そこで俺はC-C-Bの脅威を知る


つづく