おとめ紺D・V・D

「先週のワルツを焼いてくれ」
最早形骸化も甚だしい口実を携えてC氏がやってきた。
「じゃあ21時半に西友でね」
既にこれもお決まりの文句だ。


この日俺はバイトの面接があったので21時には武蔵境にいる筈であった
それなのにそれなのに何故かその時刻にはもう吉祥寺に戻ってきてしまっていた
余りに手抜きな面接、俺の希望を木っ端微塵にしたあのオーナーを…許さない


時間は21時を少し過ぎた頃、面白くも無い筒井康隆の小説に目を走らせる俺の前にC氏が。
歩き出す二人。言葉はない、それでいい
だって俺達のルートはいつだってコレなのだから…