Berryz工房 「1st 超ベリーズ」

点数:☆☆☆☆☆


01:あなたなしでは生きてゆけない ☆☆☆☆☆
多方面にセンセーションを巻き起こした我らがBerryz工房の1stシングル。必要以上に大人びた歌詞とファッションで度胆を抜いた怪作、遺作臭作。何がいいかと言われても何もいいとは言えないレベルの楽曲でなかんずく歌唱力には触れられないし本人達の魅力、素顔も見えない。聴けば聴くほどBerryz工房の本性がわからなくなる、謎かけ禅問答的な1曲です。た〜だ、この1曲で遍くオドリストヲタ達に「フォーメーション」という概念を植え付けた功績、そしてその時生じるカタルシス。それは一度踊ってみればきっとすぐわかるはず、そういう意味で俺個人的には☆を1つプラスした。


02:ピリリと行こう! ☆☆☆☆☆☆
続いても特筆すべき点の無い楽曲。だがしかし俺はこの曲がリリースされた当時、「この8人でベリーズなんだ」という気持ちにやっとなれた。それまではやれ誰それが可愛い、フリが楽しい程度の話しかできなかった俺が初めてBerryz工房というグループの存在、進展に言及できるほどの意欲を持ったのだ。それは思うに楽曲、フリ、衣装、PV等のプロモーションその全てが上手い具合に反応しあって実力以上のものを生み出した瞬間であったように思う。自然体なPVはいつ見ても微笑ましい。


03:日直〜芸能人の会話〜 ☆☆☆
黒鍵を使って無理矢理哀愁を醸し出そうとしているスタイルは正直もうお腹いっぱいです。それは俺の人生において。だのに妙にどうでもいい歌詞もミスマッチかな。


04:ファイティングポーズはダテじゃない! ☆☆☆☆☆
初期衝動は凄かったですよそれこそ。小西風のサウンド処理にゴキゲンなメロ、今だって何度も何度もリピートしています。フリコピもできるしロマンスも打ちまくれる、3部作の中では一番正統派だと思うしクオリティだってひけをとってなんかいない、けれど正統派な分だけ引っかかりがないって言うのかな…捨てメロなんてどこにも無いし本当にいい曲だと思うが…良くも悪くも「二代目」な位置ですね。決してくさしてるわけじゃないです。


05:恋はひっぱりだこ ☆☆☆☆
ラジオで流れたのを聴いた時点では「また何の取り柄もないというかなんというか平坦な2D曲を作ってきたなぁ」なんてげんなりした記憶があるんですが聴き込むとそうでもないみたいですね。りしゃこの声が良い風に目立っていて心地よいです。対照的に桃子の声は少々耳障りです、あいぼんさん歌唱は苦手なのでもうちょっと練習していただきたい。りしゃこの声はね、決して上手じゃないんですけどある種の言葉、発音に対しては抜群の響きを発する事ができるんですね。今回で言うとサビの「恋も」ですね。曲調は「真夏の光線」を砂糖で塗したような内容です。


06:蝉 ☆☆☆☆☆☆
アルバム用の書き下ろし中ではこれが一番耳に嬉しいです。JET CD〜FEVER FEVERあたりのPUFFYJUDY AND MARYのあたしをみつけてなんかを想像しちゃったかな。Aメロのコードやサビの2つめのもそれっぽいですね(コード名ぱっと思いつかないスマン)。あと歌詞もいいです、特に2サビのラーメンがどうのこうの、お野菜がなんやらというくだりがヤバイです。弟、田舎って設定はハロー曲では初めてですか?弟の手前、どうしても少しお姉さんっぽくふるまおうとしているキッズ達の姿を想像してごらんなさい、1%でも母性を持ち合わせている人間ならばいとおしくなって当たり前の光景ですよ。縁側やスイカ、なんて歌詞中には記載されていない単語がポンポン湧いてきます。いいねぇ。


07:安心感 ☆☆☆☆☆
これまた懐かしい曲調で…これほどベッタベタな進行も今では稀に見るんじゃないでしょうか?だがそれがまた良いのです。歌詞はどうでもいいしマワリたくもない、歌だって誉められたもんじゃない。曲順が上手いのかもしれないな、蝉の後にコンボでミディアムを持ってきてるのはなかなか思い切った英断ですね。間奏のストリングスには一票。


08:小遣いUP大作戦 ☆☆☆☆
ワザとらしいくらいにけれん味タップリ、歌の下手さを誤魔化す為でもいいじゃない!歌詞のグダグダ感も全て飲み込んでしまうサゲ系哀愁ダブ。


09:TODAY IS MY BIRTHDAY ☆☆☆
3曲目と似た雰囲気ですね。聞き込んでない俺が悪いのですがどっちがどっちか判別つかなかったりします。ところどころあややっぽい雰囲気もあったりしますが…誕生日である必要はどこにあったのでしょうか。


10:Bye Byeまたね ☆☆☆
聴いててしんどいです、もう余りに歌が平坦すぎて…多分これをコンサのオーラスで歌われても感動できません俺は。レビューがかなりダルくなってきました。やりたい事とできる事との間が早く埋まるといいですね。というかそもそも寺田のバラードが嫌いです。感動した記憶が殆ど皆無に等しいです。


11:あなたなしでは生きてゆけない ☆☆☆☆☆
ぉわっ!これはいいじゃないですか!これでもかといわんばかりに様々なアレンジの幕の内弁当ですよ。次から次へと飛び出すトリック、実にイイ!ハローのリミックスの中では今まで聴いた中で一番かもしれません。2サビのジャジーなランニングベースとか痺れまくります。本当はもっと点数あげたいんだけど…パワーバランスじゃないけどドラゴンボール減少がおこるといけないのと飽くまでリミックスであるという事を考慮してこの点数に留めておきます。


12:Hello!のテーマ(Berryz工房Version) ☆☆☆
クソ曲は何をしてもクソ。いいのはオケだけですね。


総評:全編に渡って小粒感が漲っているといいますか、シングルを除いてしまうとコレ!というキラーチューンの不在に寂寥を禁じ得ません。強いて挙げるならばM-06の「蝉」がそれに相当しないでもないのですが…やはり盤をコンポに入れる際に一呼吸置いてしまうCDだと思います。さぁ、聴こう、ベリーズを応援しよう!という意気込みを必要とさせられるというか…ストレートに言ってしまうと「DVDなら5000円でも全然買って満足できたんじゃないかな」という事ですよ。8人も人間がいる意味、その存在があまりに軽んじられているというかそれは各人のスキルや声の使い分けがからっきしできていないというのも大きな要因であると思います。何もしないで自然に声だけで誰とわかるのはりしゃこと桃子しか今のところないです。全員が全員ボーカルパートを取るのか、または半数はダンスやパフォーマンスに徹するのかもよくわからないし楽曲陣も余りに統一感がなく、何がやりたいのかわかりません。また娘。を出して検証するのは良くないかもしれませんが娘。の場合は1st、2nd共に明確な世界観、コンセプトが描かれているアルバムをリリースし、3rdで少し裾野を広げ、実力がついてきた4thで初めてそのバラエティ感を開花させることができたのです。対してベリーズはそれを一枚目からやってのけなくてはならないという過度の使命感に気後れして潰されてしまったような印象すら受けます。どんな楽曲でも自分達のカラーに染められる、というのは視覚的効果抜きにしてはそう容易いものではないと思います。実際ライブハウスで叩き上げて来ているバンド等もそうなんです、やりたい事は数あれど節操のない音楽は許されない、今見える一つの目標だけに走っていくしかないんです。そういった壁を壊してどんな歌でも歌う事ができる、というのが視覚を武器にできるアイドルやポップスの強みだと俺は思っています、そしてそれも十二分にやり甲斐のある仕事だとも思っています。慌しいスケジュール、彼女達の年齢を知らないわけではありません、しかしそれは言い訳にも理由にもならないことは誰しもがわかっているはず。Berryz工房が今後、拙さと懸命さだけを売りにしていく地下アイドル路線でいくのか、それともモーニング娘。を見習った国民的なスターになりたいのか、その辺りの真意を汲み取れれば今回のアルバムへの目も多少変わってくるとは思いますが…願わくばそれは後者であっていただきたいものなんですよ。