残虐カレー

社会人らしく朝は七時くらいに起きる体になってきたのです、その代わり夜は帰宅するなり即就寝なんですけど。こんな疲れじゃのんびり出会い系も出来やしねぇ!!!
そいでご多分に漏れず今日もそれくらいの時間に目を覚ましてですね、ネットサーフ(死語←引用)していたところ今日も今日とて我等がアイドルみん様がムルギーで朝食を摂られるというのでご一緒仕りたく恐る恐る申し出てみる。んが、フレックスなみん様はお寝坊も愛嬌、とてもじゃなけど学業の前にカレーを食いに行く余裕なんて無いとおっしゃったのでとりあえず今日は見送ろうと思い地元をブラブラとオクの金を振り込んだりしながらランチをどうするか迷う。お腹はたくさん空いてる、この悩みは幸福なものです。アレ食べようコレ食べようなんてのは。
そんな折友人から電話が来て四方山話をしていたところ、彼女もまだメシを食ってないとのこと。これはムルギーのお誘いでしょうか?俺がムルギーを諦めてもムルギーの方が俺を諦めてはくれないようですね。三時に渋谷で待ち合わせという運びになる。もちろん俺はわざと遅刻、こうした方が大物感が出ていいでしょ?一時間遅れで悠々と到着です「やぁ、待ったぁ?」。
しかもムルギーまで空腹を我慢できなかった俺はこっそりとミニストップでフィッシュアンドチップスとおにぎりを購入して貪っていた。モンテフェルトロ公のそれよろしく。なんで今この瞬間にカレーを食べるのは厳しい、胃が欲していない。あーだこーだといちゃもんを付けてカレーはディナー、という結論に辿り着かせることに成功し、それまでレコ屋巡りをすることに。友人は凶悪な迄に興味がないらしく別行動にて洋服を漁っていたもよう。ふん、文化レベルの低い女め、食って寝て着飾って、それ以外に遣い道を持たない金や時間ならいっそのこと俺にくれ!くで!!
一時間半程見てまわって3枚だけ購入しといた。20-20s買おうか迷った挙げ句却下、そのうち値が下がるだろうと踏んでみました。
そして待望のムルギーカレー。満を持しての空腹でお腹もダダをこねてるよ。悲鳴が聞こえる、シャウトが。デスボイスで。円山町を駆けずり回って店舗を発見し、さあ、いよいよだよってガーランドを倒した後の橋を渡るかのような、真のストーリーはここから始まらんとばかり高々とファンファーレを脳内で鳴らしていざ入店!!! すると…
閑散とした薄暗い店内にてババアが一人、大量のスプーンを拭っている。
「あ、あの〜、二人なんですけどいいですか?」
あまり耳がよろしくないのか、怪訝そうな顔をしながらババアは数秒の空白の後こう答えた。
「木曜は3時まで」
知らんがな。
「…え、そ、そうなんですか?じゃあ明日は夜もやっていますか」
牽制。
「明日は休み」
けんもほろろにカウンターを喰らう。優位に立ったババアは先ほどまでののんびりした口調を何処へ置いてきたか間髪入れず続けざまに
「土日は夜もやってるよ」
あらそうですか。でも聞いてないよね?そんな事。
「いや、平日の夜はやっていないのでしょうか?」
すると再びババアは白々しい、惚けたフェイスをして
「…やってるよ」
当たり前だろが、昨日一昨日と俺の友人がここでメシ食ってんだよ。
「わ、わかりました。。また寄らせてもらいますね。。。」
…へんじがない。


テメエ何様だ、完璧に勘違ってやがる。老人には優しい事で高名なこの介護博士のボクチャンも堪忍袋の尾がキレチャイソウだよ。いやむしろ、凹んだ。怒りよりも失意。七時間ごしのカレーは蜃気楼、ありもしない虚像に向かってマラソンをしてきた俺はそう、間の抜けた男マヌーと呼ばれても仕方ないのさ。。ショックL、ショックXO、ショックXO醤。。。


とどめは代替品として食ったその近所のカレー屋さんがあまりにも凡々と、朴訥した形容のしようがない味を運んでくれたこと。
ああ…グルゴー、じゃないムルギー…この想いは恋に似ている。